【使命感と無邪気さが同居するリング】


4月21日におこなわれたDNA新宿FACE大会、勝俣瞬馬vs樋口和貞のメインイベントは、さながらリアル版牛若丸と弁慶の闘いを観たような印象だ。

前回3.14の同じ会場でタッグマッチながら勝俣が値千金の3カウント勝利を奪ったことを受け決まった今回の一騎打ち。勝ったほうが5月10日、初進出となるDNA後楽園大会メインでマイク・ベイリーの対戦相手として立つことになる。

両者とも是が非でも勝ちたい。とくに勝俣は並々ならぬ決意をその胸に秘めていた。DNAとして後楽園ホールで興行を打ちたい。そして自分がそのメインに立ち勝利して、DNAの景色を変えたい。ずっとそう強く公言し続けてきた。

それに対して樋口はDNAのエースは自分以外にはいないと豪語している。

「新体制になってここ3ヶ月で変われたというのなら、お前はこの数年何をしてきた」

勝俣に対して酷評の言葉を吐いた。お互い意地をめいっぱい張り巡らせ、ついに雌雄を決する舞台へとたどり着いた。

リングに上がりにらみ合う両者を見比べると、やはりその圧倒的な対格差が如実に見てとれた。167cm・70kgの勝俣に対して、樋口は185cm・115kgのスーパーヘビー級。

正直、勝俣に勝機があるのかと思ってしまう。だが前回の対戦後、こう発言していた。

「プロレスって相手のスキだったりそういうところを攻めれば、一瞬で逆転できるんです。」

ゴングが鳴ると樋口の強烈な逆水平チョップをかいくぐって、低空ドロップキックを放つ。ヒザをつく樋口の背中にまわると一気にスリーパー・ホールドで締め上げた。

何度ふりほどかれても執拗にバックに回り込み、その首を捕獲することを試みる。だが圧倒的なパワーを誇る樋口が、徐々に勝俣の小柄な体を攻め始める。

すさまじい衝撃音がするチョップや、グランドで勝俣の体を折りたたんでしまうかのような関節技で絞る。

それでもスワンダイビング式ミサイルキックなどの飛び道具を放ちながら、丸め込みを狙い樋口を追いつめる勝俣。両者の気迫は会場全体へと伝わっていく。

気づくと花道では次の対戦相手となるベイリーが仁王立ちし、この闘いを食い入るように見つめていた。

勝俣の死力を尽くした攻撃を受け切った樋口は、必殺技・轟天でついに勝利をもぎ取った。マットに倒れ伏す勝俣に向かってマイクを取り語りかける。

「勝俣先輩、DNAの景色を変えたいという覚悟、しっかり見させてもらいました」

そして手を差し伸べる。勝俣も悔しさをにじませながら、潔くその手を握りかえした。

「俺はDNA後楽園大会に懸けています。それはDNAに上がる選手全員同じ気持ちです」

樋口もまたDNAの未来をしっかり背負っている。それを物語るようにリング上でにらみ合っていたベイリーと最後まで降りる順番を譲ろうとはしなかった。この団体の王者は自分だと言わんばかりの主張だ。

使命感と無邪気さが同居するリング、DNA。その集大成が後楽園という大舞台で試されようとしている。


カテゴリー: イラストレーション, テキスト, プロレス, プロレスリング・イラストレーション パーマリンク